既に大手メディアなどでも取り上げられ話題になっていますが、Unreal Engine製のゲームをなんでもかんでもVR化できる夢のようなツール「UEVR」を試してみました。
そもそもUnreal Engineとは何か?
Unreal Engineとはゲームや3Dコンテンツを制作するためのゲーム開発エンジンです。
競合する製品にはUnityが存在しており、昨今のゲームは個人や商業に限らず、オリジナルのゲームエンジンを持っている大手ゲーム会社を除いて、大抵はUnityかUnreal Engineのどちらかのエンジンを採用して制作された作品が多いんじゃないでしょうか。
Unreal Engineは実写のような高品質な3Dモデルや、リッチな表現に力を入れたAAA級の大作コンシューマーゲームソフトの開発に採用されているような印象があり、対してUnityはソシャゲからインディー作品まで幅広く採用されているような印象です。
インターネット上にマニュアルや解説がたくさん転がっているUnityと比較すると、Unreal Engineは情報が少なく、なんとなく個人制作のための学習ハードルが高いのもあり、インディー作品は少ない印象です。
同人系のエロゲはあまり多くない気がします。
対応しているバージョン
Unreal Engine 5、Unreal Engine 4に対応しています。
4に対応しており2014年以降の少し古めの作品でもVR化できるのは嬉しいですね。
UEVRの何がすごいのか
非VRゲームをVR化するModに関しては「ハニカム」「妹の性欲処理してあげよう」や「インサルトオーダー」「Portal2」など、うちのサイトでも過去にいくつか紹介してきました。
例に挙げたこれらの作品もそうですが、Modを導入するための作業が作品毎に個別に必要でした。
また、Modによっては一度導入してしまうと既存の環境を変えてしまうものもあり、デスクトップに戻すためにModをその都度外す必要があったりなど、作り的に良くないものも多いです。
UEVRでは起動中のUnreal Engine製のゲームをUEVRアプリからリアルタイムでVR化する事ができ、個別にModを導入する必要がありません。
環境を変えないので、UEVRアプリを通さなければVR化せず通常通り普通に遊ぶ事ができます。
外付けのボタン(UEVR)1つでVRを切り替えるような感覚で、無料でお手軽にVR化できるアプリです。
…と言いつつ厳密には作品ごとに設定を変えたりなど細かな調整が必要だったりしますが、初回起動時に調整できれば次回以降はスムーズにプレイできます。
Unreal Engine製ゲームの探し方
Unreal Engine製のゲームかどうかを自分で1から調べるのはなかなか骨が折れそうですが、開発スタッフの方がUEVRを使ってうまく動いたゲームをリスト化してくれています。
「UEVRマニュアル」から「spreadsheet of supported games」というリンクをたどり、スプレッドシートを開きます。
ずらっと作品タイトルが並んでいますが、右の方に「A – Works Perfectly」と記述のあるものは快適に動作するようです。
もちろんリストにない物でもUnreal Engine製であれば動く可能性があります。
オンライン対人ゲームやMMORPGなどはチート対策ツールが入っている場合が多く、うまく動かないものが多いようです。
また、仮に動いたとしても、変なツールだと検知されてBANされるリスクも0ではないため、お試しならともかく普段やりこんでいる対人ゲームは避けた方が良いかもしれません。
Modの導入
「UEVR」アプリのダウンロード
まずは「UEVR」アプリをダウンロードします。
https://github.com/praydog/UEVR/releases
最新バージョンをダウンロードし、適当な場所に解凍します。
.NET 6.0ランタイムのインストール
「UEVR」の動作にランタイムが必要らしく、入っていない状態で起動するとエラーが出ます。
割と他のアプリ実行時に必要だったりすることがあり、過去に何かしらでインストールしている可能性もありますが、覚えがない方は事前に以下からインストールしておきます。
https://dotnet.microsoft.com/en-us/download/dotnet/6.0
64ビット版Windowsのインストーラーで問題ないと思います。
インストーラーの指示に従ってインストールしてください。
事前に必要な準備はここまでです。
検証1「キングダムハーツ3」
手元にEpic Games Storeで購入したキングダムハーツ3があったので今回はこちらをサンプルとしてVR化してみようと思います。
先ほどのシートによると「C – Works Okay」とのことで動きはするもののちょっと厳しそう。
VR機器の起動
SteamVRやOculusLink等、あらかじめPCとの接続を確立しておきます。
UEVRを起動
ダウンロードしたUEVRのexeファイルを起動します。
管理者権限で開かないといけないようで、右クリックで管理者として実行します。
起動後の画面はこんな感じ。
ラジオボタンでOpenVRとOpenXRが選択できますが、OpenVRは古い規格なので基本的にはOpenXRで良いはず。
ただ、使用しているデバイスによっては動かなかったりするので、ここは適宜変更してください。
ゲームを起動
UEVRは一旦起動したまま放置し、次にVR化したいゲームを起動します。
今回の検証ではキングダムハーツ3を起動しています。
再度UEVRに戻る
ゲームを立ち上げた後UEVRに戻ると、プルダウンにゲームタイトルが表示されます。
この状態で「Inject」を押下します。
実機で確認
たったこれだけの操作で、SteamVR側で認識し、ちゃんとHMD上にキングダムハーツ3が表示されました。
自分の頭の動きに合わせて視点も切り替わります。
ただ、ゲームが重すぎて描画が全く追いついていません。
グラフが真っ赤でフレームレートは5しか出ておらず、まともにプレイすることができませんでした。
使用しているPCのスペック的な問題やゲームの相性、見直すべき設定もありそうですが一旦断念して他のゲームをプレイしてみます。
検証2「アンダーザウィッチ:ビギニング」
うちのサイトで過去にレビューした「アンダーザウィッチ:ビギニング」(記事はこちら)ですが、この作品もUnreal Engine製です。
先ほどと同じ手順でVR化できました。
こちらは許容できる範囲のフレームレートは維持できています。
完全ではないものの、ゲーム内の操作をVRコントローラーに自動で割り当ててくれているのがすごい。
ゲーム自体はTPS視点でジャンプなどのアクションもあり、VRでプレイすると床が傾むいたりするのですぐに酔いそう。
鑑賞モードも試してみます。
ゲームパートよりもこういったシーン鑑賞のが楽しめそうですね。
ただ、思っていた以上にカメラが自動でぐわんぐわんと動き、酔いそうでちょっとキツイ。
他作品
検証サンプルとして良い感じの作品がないか調査中です。
後ほど記事をアップデート予定。
まとめ 凄いけど期待しすぎには注意
これまでは特定のゲームにModを導入する手間が発生したり、そもそもVR向けのModが存在しないゲームがほとんどでしたが、Unreal Engine製のゲームをワンボタンでVR化できるのは画期的ですね。
ただ、ゲームによって相性の良し悪しがあり、なんでもうまくVR化できるわけではないので、そのあたりの試行錯誤は必要だと思います。
また、派手に画面が動くアクションゲームなど、そもそもジャンルとしての相性が悪いものもたくさんあるので、画面越しにプレイしたゲームがそのまま快適にVRでできるようになるとは思わない方が良いです。
ゲームの世界に入って観光したり、等身大のヒロインを色んな角度から舐め回すように眺めたり、モニタ越しとは違った遊び方を見つけるのが良いんじゃないかなと思ってます。
VR元年だ!ブレイクスルーだ!と各所で大絶賛された情報を見た初心者が、試してみたものの「思ってたのと違う…」ってなりがちだと思います。
設定周りなどまだ全然調べきれていないので、UEVRに関してはもうちょっと追っかけて検証していこうと思っています。