「VRカノジョ」に関わった元イリュージョンの開発陣が手がけるということで、発売前から注目されていた本作。
早速プレイしてみました。
対応デバイス
対応機種はSteam対応VRヘッドセットとのこと。
スタンドアロンには対応していません。
私はMeta Quest 3利用のVirtual Desktop経由でプレイしています。
操作に関して

操作に関して、前作は「うんうん」「いやいや」などの頭を使ったジェスチャーなどがありましたが、今作では無くなり、最近の一般的なVRゲームと似たような感じにアップデートされました。
移動もできるので視点の調整なども容易になりました。
本作には「立つ」「座る」の切り替え機能がありますが、これを理解していないと床に埋まったり天井を突き抜けたり、不具合のような現象が起こることがあります。

本編をプレイ

ストーリーモード(はじめから)を進めていきます。

前作と同じ名前のヒロイン「夕陽さくら」ではあるものの、ストーリー的には繋がりはないようです。

彼女(さくらちゃん)が来たのでドアまでお出迎え。
次の展開に必要な操作はこのように電球のアイコンで表示されるため、迷う事はないです。


部屋にきて早々、部屋汚ないから掃除させろと。

シチュエーションごとにチャプターが分かれていて、それぞれのタイミングでお触りなどのギミックが楽しめるようになっています。

「さあパンツを覗きなさい」と言わんばかりに、さくらちゃんが背伸びして本棚の前で硬直するシーンは、なかなかシュールです。

ちなみにQuest系のデバイスではスペックが足りないとフレームレートに制限がかかるのですが、半分の36FPSになってしまっています。
私の使っているPCが5年前の古い環境とはいえ、システム要件のスペックを上回った環境(RTX3080)でプレイしていますが、結構厳しいですね。

お触りをしてすぐに気になったのが、キャラの目線が全然合わない事。
ゲーム側が想定している位置にプレイヤーがいなかったので、虚無に向かって話しかけるような演出になってしまっています。
よく見ると視線自体はプレイヤーを追っているようなのですが、体の向きまでは連動できないみたいですね。

各チャプターは勝手に切り替わることはなく、自分のタイミングでこの出口アイコンを選択して次のチャプターに進みます。

虚無あーん

意地悪はやめてさくらちゃんの前まで移動。
この「あーん」も出口アイコンを押さない限り無限に続きます。

今度は食器が高い位置にあって届かないらしいが、この隙にパンツを見ろと。
さっき見たからパンツはもういいんだが…

今度はさくらちゃんが手料理を振る舞ってくれるらしいが、何だろう…
おそらくピーマンとにんじんとウインナー?

作ってくれたのはオムライスでした。
周りのフルーツはいったい何?

さっきは「あーん」をしてくれたので、お返しに「あーん」をしてみたのですが、む…無反応…
心なしかさくらちゃんの視線も冷たく「さっさと食えよ」という圧を感じます。
決められた動作しか受け付けず、余計な事は一切できないみたいですね。
「パンツを見るくだり、2回も必要だった?」とか、
「ケーキと手料理のシーン、分けずに“オムライスを食べさせ合いっこ”にした方が自然だったのでは?」と、思わなくもない。

一方で、さくらちゃんと一緒にお風呂に入るシーン。
泡をシャワーで洗い流すギミックがちゃんと作られていて、ここは素直に楽しかったです。
こんな感じで、いくつかのシーンを通してさくらちゃんとの日常を体験できるのですが、これですべてを紹介したわけではありません。
とはいえ、ひとつひとつのチャプターは短く、多めに見積もっても1時間で終わり、全体のボリュームとしてもかなり控えめな印象でした。
エクストラ


本編クリア後はさくらちゃんの着せ替えとフリーエッチを楽しむ事ができます。

体位の数は6種類でした。
他にも場所や時間帯を変更することができます。

エッチシーンは、自動操作と手動操作の2種類が用意されています。
手動操作では、両手でキャラクターの腰を掴み、自分で動かすことでピストンする演出が可能です。
まとめ
「8年ぶりの新作」だけども…
前作「VRカノジョ」は2017年に発売された作品で、当時はOculus RiftやHTC Vive、PlayStation VRなどが出たばかりのいわゆる“VR元年”の頃の作品で、実験的な意味合いの強い作品に感じました。
当時であれば「VR世界でJKとエッチな体験ができる」だけでも充分にインパクトのある作品でした。
それから8年を経て登場した本作「VRな彼女」ですが、残念ながら前作の単なる焼き直しのような印象が拭えませんでした。
ボリューム不足は否めない
Steamのレビューでも多くの方が指摘されている通り、実際にプレイしてみてもボリュームの少なさは否めませんでした。
本編はチャプター形式になっており、好きなタイミングで次のチャプターへ進むことができます。
飛ばさない限りは各チャプターにとどまる事ができるのですが、チャプターにはお触りなどのギミックが用意されてはいるものの、反応パターンが非常に少なく、まるでNPCと会話しているように同じリアクションばかりが返ってくるため、1シーンにつき引き伸ばしても5分以内には飽きがきてしまいます。
普通にプレイすれば、本編は1時間もかからず終了し、その後にフリーエッチモードが解放されます。
もしこのフリーモードが本編以上のボリュームや自由度を備えていれば納得できたかもしれませんが、こちらもやれることは限られており、あっという間にやり尽くしてしまう内容でした。
本作の定価は6,200円。私はセール価格の4,960円で購入しました。
元々定価で売る気がなく、高めの定価を設定して値引き感を演出しているようにも見えますが、セール価格でも割高に感じます。
ヒロイン「夕陽さくら」とシチュエーションに関して
本作のヒロインも前作と同じく「夕陽さくら」という名前ですが、関係性はリセットされているようで、「付き合ってはいるけど、まだ手も繋いだことがない」という距離感から始まります。
……まあ、そもそも顔は整形レベルで変わっているんですが。
前作のさくらちゃんは「日本の首都って京都だっけ?」(※セリフはうろ覚えです)など、かなりぶっ飛んだ発言をするキャラクターで、“天然”というには度が過ぎていて、ただ単に「頭のおかしい子」になっていた印象がありました。
今作のさくらちゃんにも「ん?」と思うようなセリフは多少あるものの、前作と比べればかなりまともになった印象です。
そんなNewさくらちゃんではありますが、彼氏(自分)の家に来るというシチュエーションの違いはあるものの、やることといえば一緒に家でいちゃいちゃして、最終的にエッチへと進むという前作と似たような流れなので、新鮮味のない印象をより強める要因になってしまっています。
また、これはあくまで個人的な要望で、作品のコンセプトとはズレた意見になってしまうかもしれませんが…
もともとこの作品にストーリーを期待したり、キャラゲーとしてプレイしている人は少ないとは思いますが、それにしてもヒロインのキャラクター性があまりにも薄く、「JK」「彼女」といった記号的な役割以上の魅力が感じられないのは、もったいないですね。
前作でもそうでしたが、「セリフが変」とか「性格が突飛」という話ではなく、もう少し尖った個性や、印象に残る特徴が欲しかったです。
自由度がなく、やらされてる感が強い
これはやってて強く感じました。

冒頭でも紹介しましたが、本棚を整理するこのシーン。
さくらちゃんは立ったまま動かなくなり、プレイヤーに対して「さあ、ここはパンツを見るシーンなので、パンツを見ましょう!」と強制的に促されます。
あまりにも流れが不自然で、唐突に“お約束の展開”を押しつけられている印象です。
そして、チャプター全体がだいたいこのような進行になっており、演出や展開に自然さはあまり感じられません。

チャプターの切り替わりもシームレスではなくいちいち暗転するので、どうしてもぶつ切り感があります。
ただまあ、前作も同じような感じだし、前と同じものを求めている人にとってはこれでアリなのかも。
手抜きを感じるシーンもあり

さくらちゃんのトイレを覗くチャプターがあるのですが、その覗き方が問題で、ドアを少しだけ開けて覗くとかではなく、バグを利用するように扉をすりぬけて覗くような仕様になっています。
そして、覗かれたさくらちゃん側も特に大した反応はなく、トイレ専用のモーションも無しでただ座っているだけです。
このチャプターはコンテンツを水増しするために入れたようにしか思えませんでした。
バグの可能性もありますが、これが仕様なら入れない方がマシだと思いました。
おわりに
VRゲーム全般に言えることかもしれませんが、本作に限らず、現在の多くのタイトルは“ミニゲーム”的な枠を出られておらず、「今度こそ、フルプライスでもいいからちゃんと遊べる作品を…」と期待しては、そのたびに裏切られている気がします。
本作もその例に漏れず、8年前にヒットしたフォーマットをほぼそのまま使い回した印象で、ボリューム・ギミックともに明確な進化は感じられませんでした。“VR元年”だった当時ならまだしも、今の時代に同じ内容を繰り返されると、さすがに厳しい部分があります。
とはいえ、前作が好きだった人にとっては、「これで十分」という感想になるのかもしれません。
涙袋メイクを強調したモデルのグラフィックなど、現代っぽくアップデートされています。(※Steamでは賛否両論ですが)
ネガティブな内容が多くなってしまい申し訳ないですが、前作を超えるものを期待していたぶん、正直なところ、あまり楽しめなかったというのが本音です。